埼玉中のエリートが集まる文教都市浦和。下手な都内よりもお高い街
他所からはとやかく“ダサイタマ”呼ばわりされる不遇の埼玉県だが、県庁所在地である「浦和」に限っては別格である。ここは長年埼玉県内でトップクラスの文教都市として位置づけられる街、エリート指向の高い埼玉県民ばかりがこぞって暮らすがゆえに近年「住みたい街ランキング」の上位にも食い込みだす事態に。JR浦和駅も綺麗にリニューアルされ湘南新宿ラインの停車駅に。新宿方面へのアクセスも大幅に改善され、これまで埼玉には目もくれなかった他所の住民からも注目され始めている。
駅前商業施設の発展ぶりでは県内最大の繁華街である大宮に劣ると言われてきたものの、県内の百貨店で一位の売上高を誇る伊勢丹が西口にあり、東口には浦和パルコ、さらにリニューアルした駅構内にもアトレなどの商業施設が充実し始めている。さらには意識高い系仕様の「浦和蔦屋書店」まで開業する始末。もうダサイタマとは呼ばせない…そう言わんばかりである。
首都圏屈指の予備校銀座と呼ばれるのは隣の南浦和であるが、浦和駅前にも進学塾がやたらと目立っている。そもそも埼玉民は先祖代々埼玉というよりも東北や北関東からの上京民が多数である。田舎のコンプレックスに反発して東京に近いこの地に移住し我が子に英才教育を施して成功を収めようと必死なのである。上昇志向の高い田舎の人間が“一流”の揃う東京に憧れるのは自然の道理だが、都心は地価が高すぎて住むのはままならない。そこでワンクッション置いて根を下ろす先となるのがここ浦和だ。
近年浦和駅徒歩圏内は大型マンションの建設ラッシュが続いている。浦和駅に湘南新宿ラインが止まるようになってその傾向が一段と増した感じがある。駅前の商店街にもあらゆるデベロッパーがマンション販売のビラ配りに精を出している。浦和で特徴的なのは具体的な地名を連呼する事。不動産価値が高い、浦和の中のガチ文教地区とされる「常盤、仲町、高砂、岸町」(加えて別所)のいずれかの地名をことさら強調するのである。
浦和駅西口にあるさいたま市立高砂小学校をはじめ、浦和駅周辺にはわざわざ都内から引っ越しをする人間もいるほど評判の高い公立校がひしめき合っている。教育熱の高い家庭ばかりがこの校区に引っ越してくるので余計にそうなるのだろうが、埼玉の他の街がダメ過ぎるせいか浦和だけ極端な傾向に走っている気がしなくもない。
浦和は埼玉の中で特別、という位置づけにあるのも駅周辺の地価がべらぼうに高い事からも反映されている。浦和駅徒歩圏内の常盤、仲町、高砂、岸町といった一画のマンション価格は下手な都内よりも全然高い。まさに「浦和うなこちゃん」ばりにうなぎのぼりの地価高騰ぶり。浦和を住む場所に選ぶのも決して楽なことではないのだ。
文教都市浦和民の頭痛の種は「レッズサポ」
教育ママの熱視線をひたすら浴びる文教都市浦和だが、一般的にはサッカーJリーグ「浦和レッドダイヤモンズ」の知名度の方がずっと高い。闘争心を煽る真っ赤なチームカラーが余計にそうさせるのかも知れないが、浦和レッズサポーターの血の毛の荒さは度々悪評を招いている。そんなレッズサポが頭痛の種になっている浦和文教民との温度差もまた気掛かりだ。それでも2018年、とうとう浦和駅構内に「浦和サッカーストリート」がオープン、未だサッカーの街としてのアピールが凄い。
土日を中心に埼玉スタジアムで開催される浦和レッズの試合日には浦和駅東口のパルコ横の車道沿いに沢山のレッズサポが押し寄せる。試合観戦のために直通バスに乗り込む人々の行列だ。真っ赤なトレーナーに身を包んだファンの姿にサッカー熱の強さを感じずにはいられない。暴動を起こすフーリガンはごくごく一部であると信じたいが…
しかしなんですかこのバスの列は…浦和駅周辺、商業施設も充実しているので土日に車でやってくる買い物客も多い割には駅周辺の道路状況はあまり宜しくなく、軽い渋滞も発生しがち。まあ、大宮ほどは酷くないので許容範囲でしょうけどね。