マイナーな西武新宿線の中の激マイナータウン。駅南口は団地がうじゃうじゃ
首都圏の人気一番路線である中央線に近い所を走っているのに何故か不人気極まりない西武新宿線沿線。当方の見方では一貫して「穴場中の穴場」であり、積極的にお勧めはしないが、いくら家賃が安いからと言っても東京の東側の下町ゾーンに住むくらいなら…とこちら側を選ぶ方々の有力な選択肢として提示したい。で、ここは田無の一つ手前にある「西武柳沢」。地名を聞いても、は?どこそれ?って感じですね。読みは“やぎさわ”ですよ?
隣の田無に比べると準急までしか止まらないローカル駅だけあってか、駅前の発展ぶりも乏しく、特に南口のロータリーなんてガラーンとしすぎていて、何とも味気ない。上石神井で急行に乗り換えて高田馬場までおおよそ20~25分といったところ。通勤には便利とも不便とも言えない微妙なラインである。
西武柳沢駅は北口と南口では全く町並みが違う。南口に出ると駅前一等地がでかい団地になっていて高層住宅が何棟もひしめいているのだが、これらは全て「都営住宅」。基本的に低所得者層しか住めないような団地が駅前にずらずら並んでいるのは、首都圏の駅前ではあまりよく見かける風景ではない。しかし団地内には緑地帯も設けられ図書館などもあって、雰囲気的にはそれほど悪くはない。
さらに南口から青梅街道を跨いだ南側一帯にも都営住宅やUR賃貸住宅が立ち並ぶ一画があって、柳沢界隈は一種「団地の街」的な風情すら漂っている。駅徒歩10分の位置にあるURの「新柳沢団地」、ファミリー向け物件でもMAXで14万円台と、都区内の団地に比べても割安感がある。JR三鷹駅行きの路線バスも多く走っているので、“中央線民面”することも可能だ。
柳沢駅前の古ぼけた商店街も味わい深いが、ちょっと寂れてますよね…
一方で西武柳沢駅の北口はというと…なんじゃこの狭っ苦しい“駅前広場”は。車もまともに突っ込めない狭い路地と商店街が連なっていて、郊外の駅前というよりも都心に近い側の中井だとか新井薬師前あたりのごちゃっとした下町風景に近い。ちなみに住所を見ると「西東京市保谷町」とあって、柳沢界隈は旧保谷市にあたる土地だと分かる。
北口の商店街もほぼ個人商店で占められていて、東京ではありがちなチェーン店も一切柳沢駅前の土地に食指を伸ばしてくる事はない。「福しん」も「ぎょうざの満洲」も「日高屋」も一切ない駅前って何なのよ。スーパーも大手系は駅前には存在せず、倉喜屋という土着系インディーズスーパーが細々と営業しているのみ。
駅前ではなく新青梅街道沿いに出ればいなげや等の大手スーパー、ロードサイド系の飲食店舗がそれなりに揃っているので、どうせこの界隈に住むのならチャリンコの一つでも持っておいた方がいいし、そもそも自家用車があればこの土地に住むメリット自体感じられない気がする。駅前の買い物環境が気になる人間は大人しく隣の田無を選んだ方が良い。
仕事帰りのサラリーマンがふらりと立ち寄れる赤提灯のぶら下がる西武線臭半端ない下町酒場のレパートリーもここ柳沢では若干乏しさを感じる。やっぱり西武新宿線沿線は「久米川」の一人勝ちなのだろうか。