千葉県民が住みたい街ナンバーワン「幕張新都心」の実力。お買い物はイオンで
627万の県民が暮らす千葉県の県庁所在地、そして政令指定都市でもある千葉市の中でも、なんだか没落している気がしてならない千葉駅周辺の中心市街地を差し置いてグングン成長しまくっているのが千葉駅から東京寄り約8キロの位置にある千葉市美浜区「海浜幕張」駅周辺のエリアだ。この界隈は「幕張新都心」として整備され、京葉線が開通した90年代以降から人口が急増している。海浜幕張駅から東京駅までは京葉線で最短片道30分と、通勤利便性もそこそこ高い。
駅を降りると目の前には整然と連なる商業施設とオフィスビルの数々。特に千葉県に生まれ育って“千葉愛”のあまり千葉から離れたくない土着民の方々が住みたい街ナンバーワンとなっている感がある。ほぼ東京扱いされ“千葉都民”が多く暮らしている新浦安や舞浜とはまた雰囲気が異なる。駅前の三井アウトレットパークも東京に流れやすいオサレ層を堰き止めるのに一役買っている。
神奈川のみなとみらい、埼玉のさいたま新都心と並んで東京への一極集中を避けるべく計画された副都心には企業のオフィスも数多く存在する。富士通だのSEIKOだのキヤノンだの、それから「ちばぎん」のビルもあるな。今となっては完全に「千葉県の中心」面している感もある。むしろ千葉県はこっち側に県庁を移してもいいんじゃねーの?
そして千葉県が世界に誇るグローバル企業と化した「イオングループ」の総本山たる本社ビル「イオンタワー」が海浜幕張駅前に堂々とそびえ立っている姿は、まさにここがイオン帝国の首都であるかのような貫禄を見せつけるかのよう。三重県四日市市のローカルスーパー岡田屋から始まった「ジャスコ」だった頃の臭いは完全に消え去っている。
そんなイオンの旗艦店舗の一つである「イオンモール幕張新都心」も海浜幕張駅から少し離れた所に威風堂々たる姿を見せ、紛うことなきイオン帝国の城下町であることを示している。規模こそは埼玉のレイクタウンほどではないが、商店やフードコートの食い物屋まで、嫌らしいくらいに海浜幕張エリア住民の高所得者層向け仕様になっている。それから駅前にあるイオン幕張店も含めて、ここいらで食料品を買おうと思ったら、イオン以外の選択肢を見つけることは難しい。この地域に住むイコール、イオン帝国にひれ伏すしかないのだ。
千葉県で最も高所得者層が住む、海沿いのセレブマンション街「幕張ベイタウン」
駅前から県立幕張海浜公園を超えた南側一帯の千葉市美浜区打瀬は「幕張ベイタウン」という名称の新興住宅街となっている。90年代後半から整備された西欧風デザインの何やら意識の高い小洒落たマンションばかりで占められていて、グッドデザイン賞他多数の表彰を受けたという、千葉県民なら誰もが憧れる「住みたい街」らしい地域。こんなのが近所にあるなら、隣の検見川浜や稲毛海岸あたりにごまんとある古臭い団地とますます住民の層が差別化されてしまうだろうよ。
もはや「西海岸で味わう、いつものアレ」的な雰囲気すら漂う幕張ベイタウン。ヨーロッパの街並みにクリソツなのかどうかは知らんが電線地中化しているだけでも見た目がだいぶ違うものだ。中古物件は3000~5000万円台までと、千葉県民の感覚ではかなりお高い部類にはなるのだろうが、武蔵小杉や中央線沿線のボッタクリエリアのそれと比べるとまだ良心的に思える。ただいくら住民の質が良さげでも、ここが海に面した埋立地である事を忘れてはならない。
海浜幕張駅前と幕張ベイタウンの間にある県立幕張海浜公園も広大な芝生広場を有しており子連れマダムの溜まり場として格好の場所になっている。ちなみに幕張ベイタウンにある3つの小学校のうち「千葉市立打瀬小学校」校区の平均年収は1064万円で、東京の田園調布を追い越した、などという報道も見られる。また駅北側には千葉県トップクラスの進学校である“渋幕”こと渋谷教育学園幕張中学・高等学校まであり、この地域の教育熱はすこぶる高いものと思われる。いわゆる“チバラギヤンキー”とは一線を画する生活空間だな。