池袋まで丸ノ内線でひと駅なのに住所は「文京区」というアドバンテージ
池袋から荻窪までを結び、概ね都心の主要部を通る「地下鉄丸ノ内線」の有難みは夏場や秋の大雨台風、冬場の大雪時の交通マヒが起きた時も、殆ど運行ダイヤに乱れがない安定ぶりを一度でも体感すれば理解ができるというもの。丸ノ内線の沿線に住めるという事はそれだけで名実ともに都民様の中では上流階級なのではないかとすら思えるのだが、その中でも地味でマイナーな駅というのが存在する。それが池袋の一つ隣にある「新大塚」。
池袋の隣の大塚と聞くとついつい「豊島区なのでは?」と思ってしまいそうだが、それは豊島区北大塚、南大塚の事であって、そのすぐ南側にある「文京区大塚」という地域が存在している事は意外に世間様には認識されていないのかも知れない。皇族御用達霊園である豊島岡墓地やそこに隣接する真言宗豊山派護国寺、お茶の水女子大や筑波大といったものがこの区域に入っていて、何やらお下品な看板が2000円や3000円で大回転しまくっている豊島区の大塚とは似て非なる、まるで別世界である現実を見せつけている。
しかも池袋や大塚のようにお下品な店舗は何一つなく、駅前を歩いていてもちょっと店が少ないのが寂しく思えるくらいで「文京区らしい閑静な住宅街」の体裁を保っているのが、文京区志向のお高い教育ママ世帯にはウケが良さそうである。個人的には文京区なんてごちゃごちゃと入り組んだ坂道と木造密集家屋の多い古びた下町だよなと思いつつも、世間の文京区のイメージが良すぎるものだから不思議とそうは思わせない力がある。
隣に池袋があるせいか、全然栄えていない。「まいばすけっと」が生命線な地域もある
新大塚において普段遣いできるスーパーは豊島区側にマルエツ、スーパージャンボ、少し離れたところにライフがある程度で食品の調達には不便がないが、茗荷谷寄りの一帯はせいぜい「まいばすけっと」くらいしかない。そもそも隣に池袋があるせいか、必要最低限の店がちょろっとある以外はろくに商店街と呼べるほどの場所もなく、人が住む街として全く栄えていない。
ちなみに首都圏ではかなりの店舗数を誇る大手スーパー「マルエツ」は新大塚駅近くの店舗が本社である。
住民が暮らす住居となるのも概ね大半が春日通りなどにそびえる大型マンションか、路地裏の木造密集家屋みたいなところかのどちらかになる。隣の池袋はタワマンがニョキニョキ建っていて、埼玉県出身者の成り上がりセレブの新居かよとも思えるが、見栄を張る事よりも子供の教育費に金を掛ける事に重きを置く文京区民には知った事じゃないし我が子を東大にでも入れる事ができれば、住環境にはそれほどこだわりなどないのだ。
そんな新大塚と言えば、駅徒歩5分の「坂下通り」沿いにあるこちらのペンシルハウス…もとい戸建て住宅が中古で売りに出されていて、その間取りの余りの「ウナギの寝床」ぶりにネット上が話題騒然となった事が記憶に新しい。9.7坪、3階建ての狭小住宅が築浅ながら4380万円で販売されていたが、買い手はついたんでしょうかね。