世界のブランドが集うオサレの極致・青山に集まる成り上がりセレブ民が嘲笑の的に
“OMOTESANDO” “AOYAMA”…世界のファッションブランドが集まり、オサレ文化の最前線としてあまりに有名なこの街の名前を耳にした途端、まるで思考停止したかのように取り憑かれ憧れを抱く、田舎コンプレックスをこじらせた女子の姿が一定数ある。表参道駅を降りれば到る所にそんな女子の消費意欲をくすぐる化粧品、美容関連メーカー、美容整形外科等の広告が掲げられ、駅の構内から既に「甘ったるい」腐臭が立ち込めている。
そこから地上に這い上がると、目の前には明治神宮の表参道と、その南側の青山通りを挟んだ両側に広がる青山エリアへ繋がっている。その昔、青山と言えば練兵場のある「軍隊の街」、良くも悪くも下町風情の強い地域だった。それも今では忘れ去られ、いつの間にか“一流”を志向する“意識高い系”な小金持ちの方々の間で人気の「住みたい街」になっている。そんな歪んだこの街の特徴が世間によく知れ渡ったのが、2018年に勃発した「南青山児相建設騒動」だ。
世界のブランドショップが密集し商業地域として引く手あまたの土地に行政が児童相談所を建てる事に対し、一部の商売人(地元の不動産屋)の旗振りで反対の声が挙がったこの問題、しかし醜悪なのは、この土地に憧れを抱いたばかりに莫大な地代を払ってマンションや戸建を購入し住み着いた「青山新住民」による勘違い発言の数々だ。そんな方々に対して世間の声は「金持ちなのかも知れないけど、心は貧しいよね」という意見でまとめられた。
億ション暮らしの新住民と都営・公団住宅で老後を過ごす旧住民の格差たるや
改めて、表参道駅徒歩圏の青山エリアを「住む場所」として観察してみることにする。まずは児相建設に猛反対するおセレブ子育てママが熱視線を送るのは公立御三家の一つとして挙げられる「青南小学校」。この小学校の校区にわざわざ我が子を入れたいがために背伸びして何億も高い銭を払って住んでいる人間が沢山いるのである。
児相問題についてテレビで放送されていた「説明会」に居たような、あんな厭味ったらしい感じの大人ばかりが街にのさばっていたら、その子供はやけに特権意識を身に着けた世間知らずで偉そうな人間に育ちそうな気がしてならない。徒歩圏内にはそんな人生イージーモードな“金持ちのボンボン”が集まる青山学院大学のキャンパスもあり、リア充っぷりが容赦ない。 幼稚園からエスカレーター式に小中高はまだしも、大学まで行っちゃうって、どうなのよそれ。
オサレゾーンである表参道や青山通り沿いから一歩裏手に入れば、このような分譲マンションが多く立ち並ぶ住宅街も多い。地代が死ぬほど高い場所だが、駐車場に高級車が立ち並ぶ風景も珍しくない。例えば表参道駅徒歩3分、築50年のこちら「南青山ハウス」、単身向けの1LDKで20~25万、家族向けの3LDKに至っては40~55万という超高額の賃料で賃貸物件が出ている。
埋蔵金発掘で有名な某コピーライターが住んでいるらしい「南青山第一マンションズ」も表参道駅徒歩1分、青山通りすぐ裏手という超絶好立地なのに世帯数の多い、大規模マンションとなっている。建物もいい加減古いのになかなか空き部屋も出ない。区分所有者同士による意見の相違もあって建て替え計画にトラブルが起きている。
ヴィンテージマンションですら億超え物件も珍しくない、お家賃高止まりタウンである青山であるが、その一方で昔ながらに庶民的に暮らしているご老人が多数いるUR賃貸住宅や都営住宅といったものも結構な規模で残っており、両者の生活レベルの格差が物凄い事になっている。青山通りを挟んだ両側に「北青山三丁目市街地住宅(第一青山ビル)」「南青山三丁目アパート(青山センタービル)」が向かい合っている。
青山通りから北側に入った一帯に広がる都営住宅「青山北町アパート」はかなりの老朽化物件だ。現在敷地南半分で建て替え工事が進んでいるが、住民はほぼ高齢者ばかり、家賃は3万円程度(入居世帯の収入による変動がある)と格安ながら、細々と年金暮らしをしている故に「紀伊国屋インターナショナル」や「成城石井」のような青山新住民御用達のお高いスーパーで普段の買い物ができないわけだ。
レジでの会計で万札がアホ程飛んでる別世界的高級スーパー「紀伊国屋インターナショナル青山店」をひと目見れば、嫌味なくらいにセレブぶった青山新住民の経済力を思い知る事必至であろう。だいたい何でも普通のスーパーの数倍の値段ですよ。ここに比べりゃ成城石井なんてむしろ庶民的にすら思えてしまう。
一方で都営・公団住宅の“庶民派”旧住民が普段遣いしていた「ピーコックストア青山店」が2019年2月末で54年の歴史に幕を閉じ閉店となってしまい、事実上高級スーパーしか選択肢が無くなった旧住民がのこのこ1.5キロ以上離れた千駄ヶ谷のオーケーストアまで買い出しに行っている姿がテレビで紹介されていた。この街自体、いよいよ本格的に貧乏人を追い出しに掛かってませんか。