近代製紙業発祥の地・王子。しかし駅前が香ばしいのなんの
東京都北区と言えば繁華街でターミナル駅の赤羽が真っ先に思いつくが、区役所などがある区の中心は一応こちら王子です。近代製紙業発祥の地という事で駅前のサンスクエアという下町全開な商業ビルの前に石碑が置かれている。有名な製紙会社「王子製紙」の発祥もここ。国立印刷局もあったりする所が「紙の街」の趣きを感じさせるが、山手側に目をやると飛鳥山があり都電荒川線が勾配のある坂道をキリキリ音を立てながら登っていく日常風景。
飛鳥山公園とJRの線路に挟まれた一角には戦後の闇市発祥の飲食街「さくら新道」があり、紫陽花シーズンには風情ある昭和の街並みを見せていたのだが惜しくも失火で大部分が焼失。駅近くの音無親水公園は旧石神井川(音無川)が谷底を流れまさしく都心の渓谷。こうした都市風景は恐らく東京でしか見られない。
王子駅前の二大戦後ドサクサ横丁「さくら新道」&「柳小路」
JR王子駅ホームからも見える昭和丸出しのバラック飲食街「さくら新道」。戦後の昭和27年に開かれた飲み屋街だが、赤線地帯を思わせる艶めかしい佇まいが魅力的でもあった。2012年1月に失火し建物の3分の2を失い風情は損なわれた。毎年6月の飛鳥山公園の紫陽花の開花シーズンにはバラック酒場と花見が両方楽しめるという素敵なイベントが。
ちなみにサンスクエア隣の飲み屋街「柳小路」も戦後の闇市上がりの飲み屋街だが、この柳小路をバラックから木造家屋に建て替えた際にはじき出された業者が流れたのが「さくら新道」にあたり、両者は兄弟関係にある。