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南林間

住みやすさ指数 3.2/5.0 満点中

  • 総合:航空機の爆音に耐えた者だけがその利便性を享受できる街
  • 治安:悪いに決まってる
  • 家賃:単身向け物件は死ぬほど安い。2万円台はザラ
  • 買物:西口はOdakyu OX、生鮮館TAIGA、東口住民は中央林間のりんかんモールへ
  • 食事:チェーン店系から個人経営の赤提灯までよりどりみどり、独身者には最高
  • 外人:東南アジア系住民、南米系住民多し
  • 文教:聖セシリア女子中学校・高等学校
  • 医療:大和市立病院
  • 交通:小田急江ノ島線
  • 災害:飛行機墜落に注意

米軍機・自衛隊機が頭上スレスレを掠める軍都大和の本気を肌で感じろ!素人には厳しい街

小田急線沿線、町田から手前とその先では街の空気がガラリと変わる。町田の次の相模大野から分岐して藤沢方面に伸びている「小田急江ノ島線」に入ると、その先の大和市もたいがいアクの強いエリアである。「金妻タウン」で持ち上げられた東急田園都市線も終点の中央林間まで辿り着くとアッパー感は皆無で、カオスな基地の街に頭を突っ込んだ形となっているわけだが、そこから小田急江ノ島線で一駅隣にあるのが「南林間」。

東京からも遠く離れたこの土地だが、今から90年も前の昭和初期に小田原急行鉄道(小田急電鉄の前身)が主導で開発した「林間都市」にある駅の一つとして、中央林間や東林間などと同時期に開業したのが街の成り立ちである。特にこの南林間駅は駅の西側に田園調布を意識したような放射状道路が配されていて、当初は高級住宅街としての都市構想が練られていた事が伺える。

イギリスのエベネザー・ハワードが提唱した「田園都市構想」を実践した戦前の私鉄企業は数あれど、小田急はそうは上手くは行かなかった。まず沿線には東京に近い高級住宅街である成城(世田谷区)があった事、この土地自体が東京から遠すぎた事などから土地の分譲が進まず、やがて近郊に厚木海軍飛行場が建設されるや“軍都”として勃興し、当初の計画は頓挫した。後に出来たのは「基地の街・大和」に地べたを這って生きる土着民の憩いの場たる、場末臭のドギツいスナックが立ち並ぶ、年中アルコール臭い、だらしのない下町だったわけだ。

そんな南林間、別に乗換駅でもないのに特に駅西口周辺がやたらと栄えている。駅前からは斜めに走る放射状道路に加えて整然と並ぶ碁盤目状道路が配され、駅から近い順に一条通り、二条通り、三条通りなどと名称が付いていて、まるで北海道の都市のようだ。その昔、地名通りに「林間」が広がっていた時代にこの地を見たならば、かつて屯田兵が切り開いた土地の風景と重なっていたのかも知れない…

しかし現代の「林間都市」を象徴する光景なのが、さっきから頻繁に頭上スレスレの高さで近所の厚木基地に着陸しようとする海上自衛隊の航空機の数々。大和市では長年頭痛の種になっている、自衛隊機や米軍機による「騒音問題」の実態だ。当地付近は東京23区に匹敵する人口密度がある中、これが日常茶飯事的に続いているのは異常としか言いようがない。

だが、こうした基地も日本の安全保障を守るために不可欠である施設であるのも事実。普天間基地や嘉手納基地の問題に直面している沖縄県を除けば、ここまで基地問題が深刻なのは本土じゃ神奈川県のこの地域くらいではなかろうか。年がら年中飛来する戦闘機の轟音被害と引き換えに、お手頃な地代から工場労働者や外国人世帯に人気の高い街になっている。(2018年以後、米海軍厚木基地の艦載機部隊が岩国基地に移転し、騒音問題が相当緩和されたとの情報もある)

“多文化共生”が捗る街、神奈川県大和市。南林間にも沢山のエスニック料理店が

南林間駅前から隣の鶴間駅前までに掛けて伸びる商店街を歩くと、こうした外国人経営の食い物屋がやたらめったら多い事に気が付く。大和市は1980年代からインドシナ難民の定住促進センターが置かれるなど、外国人の受け入れが盛んに行われてきた。外国人の仕事の受け皿も多く地代も安い事から、現在もその傾向は続いている。

南林間では老舗というタイ料理屋「イーサン食堂」とはじめエスニックな食い物屋には枚挙にいとまがない。全体的にガラの悪い土地柄なのが大和市ではあるが、外国人大好きな人間がお安く暮らすには埼玉じゃ川口、神奈川じゃ大和がド鉄板、そういう構図が出来上がっているように思う。

昼間から営業しているカラオケスナックと外国食材専門店とインド料理屋とピンサロが同居するカオスな雑居ビル。南林間では別に珍しくもなんともない。せっかくここまで来たならば、大和市のソウルフルぶりを是非とも堪能して欲しい。でも、住むかどうかと言われると、やっぱり住みたくないですね。

南林間駅周辺の不動産物件を見ると、独身者用のワンルーム物件が駅徒歩5分圏内でも2万円台とかが普通にある。新宿まで片道最低50分、というのを見れば都心に通勤するのはしんどいだろうが、地元で工場の派遣労働者をしていても普通に食い凌げるレベルの地代だろう。休日には江の島に出向いてリア充を気取る事もできるさ。

この通り、服代も掛けられないビンボー生活を支える「リサイクルブティック」の店舗も充実していて、生活利便性はやたらと高い。衣食住全てが爆安、それが南林間スタイルである。ちなみに我々、南林間駅の西側ばかりしか見ていなかったが、駅の東口はあまり発展しておらず、ガヤガヤした感じはしない(飛行機の轟音は変わらないと思います)。

その他、南林間前駅周辺の写真集

南林間駅前から出ている神奈中の路線バスは「日産」行き。隣接する座間市に日産の座間事業所がある

飲食店の密度の高さは大和駅に次ぐ。もちろん焼肉屋もいっぱいあるニダネ

同じ神奈川でも川崎臨海部とタメを張れるポテンシャルの高さを見せつける県央地域の盛り場

治安の悪さを伺わせる電柱の警告文。ひったくり・ちかんに注意

あと、南林間がらみの何か


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DEEP案内編集部編集長。取材から執筆まで一通りやっております。趣味は街歩きと街弄り。

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