イマドキっぽい超大型モール中心のニュータウン。住む人を選ぶ街
武蔵野線沿線の埼玉東部エリアは長らく都市開発が進まずだだっ広い農地ばかりが連なる風景だったものが、2000年代に入り首都圏への人口集中に対応するかのように遅まきながら開発が進んでいる。その一つが新三郷や吉川美南などの旧武蔵野操車場跡地の開発、そしてもうひとつがここ越谷市東部にある「越谷レイクタウン」である。
2008年3月に華々しく開業した武蔵野線の新駅と首都圏屈指の超巨大モール「イオンレイクタウン」を中心としたニュータウン、都市再生機構の主導による計画人口約22,000人という大規模プロジェクトである。街開きから10年経ったが、当時は空き地だらけだった駅周辺も今となっては大型マンションや戸建住宅がひしめき合う街並みに変貌した。
この越谷レイクタウン、完全に都市計画で作られた人工的な街である事に加え商業施設はほぼ目の前のイオンレイクタウンに集約されている。大型モールに依存する生活になる事は承知の上だが、それが生理的に嫌という人間にはまず住む街として選択肢に挙がる事はない。しかし駅周辺の商業地域はパチンコ店や風俗店の出店が規制されていて、下品がデフォルトの埼玉県内武蔵野線エリアでは珍しい。教育環境に乏しいこのエリアでは貴重な街かも知れない。
武蔵野線埼玉東部エリアはどこもそうだが、駅チカマンション新築物件が2000万円台で手が届くという、しがないサラリーマン世帯にとっては夢のドリーム的な地価のお値打ちさが魅力的に映ってしまう。安心の大手財閥系ですら「3LDK2400万円台」だとか書いてあるんだものな。風が吹けばすぐ止まる武蔵野線が生活の要になるわけですが…
通勤リーマンは武蔵野線に乗って隣駅の南越谷で東武伊勢崎線、4つ隣の南浦和で京浜東北線、5つ隣の武蔵浦和で埼京線に乗り換えて都心各所に出る形になる。4駅5駅と聞くとそれほど大した事はないように思えるが、武蔵野線は駅間がめちゃくちゃ長いので、毎日の通勤時間がやたらと伸びてしまい、結構な苦行となるのだ。例えば武蔵浦和経由で新宿に出るには1時間以上掛かる。お父さん…満員電車での長時間通勤、耐えられますか?
レイクタウンの“レイク”とは洪水を食い止める調節池のことです
レイクタウンというカタカナ地名の由来となったのが、ニュータウンの中央に広がる人工池「大相模調節池」である。調節池という名の通り、この一帯は元荒川流域の低湿地にあり水害のリスクが常に付きまとう。春日部市(旧庄和町)にある「首都圏外郭放水路」と同じく、この大相模調節池もまた洪水時の水の逃げ場として、総事業費約347億円を掛けて作られた人工池なのである。
2015年9月の台風18号襲来時に大相模調節池は満水状態となり、調節池の周囲に整備された遊歩道などが水没する状況となったが、レイクタウン自体は嵩上げされた土地の上にあるので住宅への浸水被害は免れている。むしろ越谷市内では北部のせんげん台駅周辺などで深刻な冠水被害が出ている。あと2013年9月に竜巻被害で家が吹き飛ばされてたのも越谷市だったよな。この地域では人一倍、自然災害に対する注意が必要だ。
真新しい街だけあって綺麗なのは結構だが、ただでさえガラの悪い埼玉南部の街にあって、ことさらアウトローや流れ者やオウムの残党やDQNが寄り付きやすい越谷市というお土地柄という事を踏まえるとあまり期待しすぎない方が良い。
イオンレイクタウンが広すぎて逆に不便じゃね?問題
「もうダサイタマとは呼ばせない」とばかりに爆誕した超絶マンモスモール「イオンレイクタウン」も華々しさでは首都圏ナンバーワンの勢いを感じる施設ではある。しかし正直ここまでデカいと広すぎて何をするにも疲れるのである。ちょっと惣菜だけ買って帰りたいのに…という場合には不便極まりない。そのうち嫌気が差してスーパーマルサン越谷花田店にでも行っちゃうよね。遠方から自家用車でやってきては渋滞を作るカッペ民やヤンキーは大喜びしちゃうのだろうが、地元民の普段遣いにはどうなんだかね。
昔の航空写真で当地を見ると、武蔵野線の駅前から「イオンレイクタウンkaze」の敷地付近にはかつて火葬場「越谷市営斎場」があった他、大相模調節池を含む大部分は単なる何もない農地だった事が分かる。随分と気合を入れて開発しまくったものだ。