みうらじゅんが「日本のインド」と称した街は良くも悪くも中央線文化の結晶
中央線沿線の中でとりわけサブカル界の住人が生息する杉並区の魔窟「高円寺」。駅前商店街は北口に中通り、純情商店街、庚申通り、あずま通り、南口にパル商店街とルック商店街、非常に充実しており毎日人通りが絶えない。日が暮れ始めると駅前のガード下付近は焼き鳥居酒屋がもくもく煙を吐き出し、文化系テイストを漂わせる大人の盛り場と化す。
そこらじゅうピンクで怪しげな店もやたら多いし、中核派の息の掛かったヒッピー集団もいるわ、山本太郎も選挙事務所を置くわ、街並みがどこか貧乏臭い。対外的には毎年開催される「高円寺阿波踊り」と「高円寺フェス」、それから「高円寺びっくり大道芸」なんかが有名であり、何かと年がら年中騒がしい街だ。
ボロアパートとドカ盛り大衆食堂が豊富な杉並の貧民街
高円寺もまたおのぼりさんにも人気の住宅地で家賃相場もクソ高いが、絶望的なくらいに劣悪なボロアパートも幸い多く残っており、売れないバンドマンやエリート崩れの独居低所得者層の住まいとなっている。杉並の貧民街と扱われるのはこの為だ。非正規雇用で割を食わされ生きる独居男性が常食としている高カロリー全開な定食屋や中華料理屋がやたらと多く、特に高円寺ストリートの「タブチ」や小杉湯の真ん前にある「丸長」「三愛」、庚申通り「タンタン」など枚挙に暇がない。ちなみに早稲田通りを挟んだ向こうの大和町に入ると家賃は多少お安くなります。
串焼居酒屋密集し過ぎでガード下が煙まみれ「高円寺ストリート」
高円寺駅周辺を眺めるととにかく目に付くのが、どうにもチープさが漂う安呑み系の串焼き居酒屋の数々だ。やはり売れないバンドマンやビンボーな文化人がこぞって集まる街だけの事はあってどの店先にも路上に椅子やビール箱をひっくり返して置かれたテーブルを並べて夕方から大量の客が道端で飲んだくれている。特に駅西側のガード下「高円寺ストリート」付近は夜ともなると串焼の煙が充満して独特の風情を見せる。上野あたりのガード下と比べるとやはり年齢層が若いのが特徴的だ。「やきとり大将」「四文屋」「場巣亭」などなど多数あり。
東京最古参の老舗沖縄料理屋「きよ香」率いる抱瓶グループ
高円寺には東京でも最古参の一つと言われる老舗の沖縄料理居酒屋「きよ香」をはじめとして居酒屋「抱瓶」などを経営する抱瓶グループがあり、隣の中野同様沖縄人コミュニティの拠点になっている。中通り商店街にある抱瓶本店では連日上京してきた沖縄県人が集まっており、地元の話に花を咲かせているのである。「今度いつ島に帰るの?」そんな会話があちらこちらで繰り広げられているのを見るとガチで沖縄気分です。
レディー・ガガ愛用の衣裳が作られたバラックブティック「キタコレビル」
高円寺中通り商店街の中程に現れる珍妙な外観のバラック建ての服屋…「キタコレビル」と書かれた変な横断幕が剥がれかかっていて何だか見るからに文化祭をこじらせた感じになっているが、こちらの店舗は高円寺を根城にする先鋭的デザイナー達による個性的なブティック5店舗の集合体。このうち「GARTER」「シークレットDog」の2店鋪は、あのレディー・ガガが愛用する衣裳を手掛けたデザイナーが居る店である。まさか高円寺からレディー・ガガが繋がるとは思いもしませんでした。