ほぼ狛江!それでも「世田谷ブランド」にしがみつきたい人にとっての最後の砦
小田急線で新宿から各停電車に乗って14駅26分…23区最大の人口を抱える巨大な住宅都市・世田谷区の最も外れの外れに位置する「喜多見」…もはや世田谷というよりも半分「狛江市」と言った方が良いくらいのロケーションだが、どっこいお隣は世田谷ナンバーワンの高級住宅街「成城」でございますザマスので、虎の威を借る狐的に喜多見に住みながら「成城のお隣ですのオホホ」と大見得を切れるなかなかコスパの良い街である。
しかし駅前ロータリーにやってくるコミュニティバスまで狛江市のものとなっていて生活圏的にはもはや世田谷ではない。自分ところの区役所へ行くより隣の狛江市役所の方が全然近いなんて世田谷区民的には泣けませんかねそれ。地元紙「世田谷ライフMagazine」にもてんで紹介されることもない、喜多見はそんな悲しい運命にある。
世田谷でも文句なしに最弱クラスの存在で、他地域からは箸にも棒にもかからない、影の薄い喜多見だが、それでも駅前には最低限商店は揃っており日常生活で困るような事は少ないと思われる。逆に考えれば「穴場」ということでもあり、無名過ぎて「どこそれ?」的な狛江市に比べればかろうじて世田谷に住所を置ける事に価値を感じて住む人も一定数いそうである。
小田急線喜多見駅があるのは世田谷区喜多見の中でも北側にある八・九丁目。そこから南に下ると商店街を経て、鉄道不毛地帯である一~七丁目へと連なる。最南端の多摩川沿い、喜多見一・二丁目まで行くと世田谷のチベットと呼ばれる宇奈根にも隣接していて、田舎臭さ半端なくなるわけで、そういう場所に戸建住宅を建てて「世田谷ライフ」を気取るサラリーマンも一定数いるだろう。
しがない勤め人の給料で世田谷の中でまともな新築戸建てがギリギリ背伸びすれば建てられる、唯一と言っても良い土地、それが喜多見なのである。しかし一般的なサラリーマン世帯がそんな辺鄙な場所を選ぶくらいなら、都心に30分ちょいでサクっと出られる埼玉南部に家建てますよね…
業務スーパーとたぐちフーズが喜多見住民の生活の中心
まず喜多見という土地を選ぶ時点で世田谷の中の負け組になった気がするのが、駅前でもっとも賑わっているスーパーが「業務スーパー」である現実を見た瞬間。オダキューOXマートやサミットもあるが、それよりも土着民に人気なのが業務スーパー。そりゃ安いんだもんな。ましてや誰も隣の駅にある成城石井なんて行きませんよ。
さらに喜多見商店街にある「たぐちフーズ」なるインディーズ系スーパーも店の前の繁盛ぶりが容赦ない。人通りもさほど多くない、世田谷の外れのしょぼくれた街なのにここだけが“沸騰現場”と化している。必死で特売品の野菜と肉を買い漁る原住民の必死さよ。喜多見から業務スーパーとたぐちフーズが無くなったら、恐らくここらの住民は餓死してしまうだろう。