カネボウ創業の地、墨田リバーサイドの極北
押上駅から地下鉄半蔵門線に乗り入れている東武伊勢崎線の北千住から押上までの急行通過区間は荒川と隅田川に挟まれた窮屈な地域をうねるように線路が伸びていて、大都会東京らしからぬ時間の流れが止まったような街並みが続いている。特に墨田区の最北端に位置する鐘ヶ淵駅周辺はスカイツリー効果とは無縁の乾いた下町風景が現存している。
駅前で東武伊勢崎線の線路を交差するメインストリート「鐘ヶ淵通り商店会」を歩く。程々に商店もあるし今時なマンションも数多く見かけるが、古びたままの個人商店がシャッターを下ろしたままになっている箇所も目立つ。隣の足立区のようにチェーン店が幅を利かせてもおらず、良く言えば昔気質な商店街、悪く言うなら寂れてどうにもならない感じもあるのは確かだ。そして人通りもそれほど多くはなく栄えている感じもしないのだ。
化粧品ブランドとして知名度の高い「カネボウ」(現・クラシエホールディングス)は当初「鐘淵紡績」という社名で、同社の発祥の地がここ鐘ヶ淵である事は有名。そんな由緒ある土地を歩くと駅周辺の墨田二~五丁目あたりに掛けて入り組んだ路地に住宅や町工場が密集する独特の風景が今でも残っている。
震災危険度ランク4~5の高リスク地帯!住むなら防災意識は必須
東京都が公表している「地震に関する地域危険度測定調査」の丁目別ランキングで鐘ヶ淵駅周辺の墨田区墨田二~五丁目一帯は京島二・三丁目と並んで軒並み「総合危険度4~5」に指定されている。この地域に住むのなら「戸締まり用心火の用心」は欠かせないのである。
過去には関東大震災、東京大空襲の被害も受けた墨田区の苦い歴史が隅田川沿いに築かれた「万里の長城団地」の異名を誇る全長1.5キロに渡る「白鬚防災団地」の存在によく現れている。過剰なまでの防災意識の高さがこの巨大団地を誕生させたのは間違いない。防火壁となる巨大な鉄扉など、団地には様々な防災対策が施されているが、幸いにもこれまで実用された事は一度もない。