ヨコハマの南の果てにある京急王国。快特に乗れば都心にビュン
東京城南地域や京浜工業地帯の住宅地を時速120キロで爆走する京浜急行電鉄の快特電車に乗れば品川を出ると蒲田、川崎、その先に横浜と続き、その次に止まるのが横浜市港南区に属する「上大岡」である。品川からの所要時間は約27分と充分都心通勤圏であるらしく、横浜駅までもたったの10分で着いてしまう。駅前は駅ビルを兼ねた京急百貨店や再開発ビル群で囲まれなかなか都会的に見える。
東急がたまプラーザ、西武が所沢を牛耳るように、上大岡は京浜急行電鉄のシマである。京急の駅別乗降客数で横浜、品川に次いで乗降客数が多いのが上大岡駅、という事で再開発で出来た駅ビルもまあまあ気合が入っているように見える。何気にヨドバシカメラまであったりするので侮れない。あと、横浜市営地下鉄ブルーラインも走っているので、戸塚駅や関内、新横浜方面も電車一本で行ける。横浜市内を生活の軸とするなら便利な街である事は確かだ。
商業施設とタワーマンション、オフィスビルなんかが組み合わさった上大岡駅前の再開発ビルは出来た順に「ゆめおおおか」(1997年)「カミオ」(2003年)「ミオカ」(2010年)とどれも安直過ぎるネーミングで脱力必至なのだが、この3つのビルの中に必要な店舗が全て揃っていてある意味コンパクトに買い回りが出来て便利、というのが特徴らしい。まあ、イマドキすぎて味気ないんですけどね。
再開発エリアを外れると糞狭い道路に自動車が殺到、小学生が死亡する交通事故も起きた
駅前再開発エリアだけを見ていても何ら不都合を感じない、ほどほど便利な上大岡の街であるが、そのエリアを外れた途端に街の未開ぶりを知る事になる。上大岡駅周辺の道路は駅前を南北に貫く幹線道路を除いてまともな道路が存在しない。特に駅西側の大岡川を挟んだ向こうの大久保地区はご覧の通りの狭隘な一方通行路しかなく、朝の通勤時間帯には多くの歩行者や自家用車、路線バスが入り乱れて危険な状態になる。
2016年10月28日朝、上大岡駅西側のハックドラッグ上大岡大久保店前の路上で老人が運転する軽自動車が暴走し集団登校中の小学生の列に突っ込み、男児1人が死亡、運転手の老人を含め11人が怪我をする事故が起きている。ご覧の通り、歩行者と車道を隔てる柵も一切ない場所での事故だ。
88歳で認知症の老人が車を運転できる状況にあった事自体はそれはそれで問題だが、自動車はいつ何時でも凶器になり得るというのはいかなる状況でも共通している。こんな危険な道を通らなければならない場所に我が子の身を置く事にどういうリスクがあるのか、子持ちの親であれば一度は考えてから決めるべきだ。(※上記写真左側の電柱が小学生死亡事故現場)
横浜市内において全体的に言える事だが、上大岡駅周辺も例に漏れず起伏の激しい地形をしていて道は狭い上に見通しも悪いグネグネの曲がり道、平坦なルートも少ないので「駅徒歩10分」以上の物件は急激に家賃相場も下がる代わりに普段の通勤通学、買い物などでの不便を強いられる事になる。いっその事、駅から遠いくらいなら、地下鉄で一駅二駅隣の港南中央だの上永谷だの、あの辺りで駅近物件を探す方が無難かも知れない。