銀座・築地は目の前、タワマンバブル沸騰中で駆逐されていく下町風景
近年の都心回帰の流れが強い中、かつては土地バブルで人口が急減したものの、揺り戻し的にV字回復し人口が急増し始めている東京都中央区。八重洲、銀座、日本橋と、まさしく江戸の中心を為してきたこの地域でも海側の外れを見るとまだまだ都市開発の波が活発である。銀座、築地から晴海通りを海側に進むと現れる「勝鬨橋」の向こうに見える、勝どき地域のタワマン群が何やら仰々しい。
勝鬨橋を渡った先にある勝どき駅前交差点の角には地上55階建ての超高層タワーマンション「勝どきビュータワー」がそびえる。都営大江戸線勝どき駅の真ん前。2010年竣工以来、タワマンの街・勝どきのイメージを決定付けるランドマークの一つに。こう見えてUR都市機構が建てたタワマンだが、中古物件でも普通の給料のサラリーマンがとても買える金額ではない。
休日ともなるとタワマン階下にある「月島第二児童公園」には近所のタワマン住み新住民と思われる子連れ家族が総出で窮屈そうに我が子を遊ばせている姿が目に入る。中央区勝どき一~六丁目という狭いエリアに約26,600人もの人口があり、過密ぶりが際立っている。隣接する晴海、月島といった地域を合わせると相当な数のタワーマンションが乱立し、まさに東京湾岸におけるマンションバブルの象徴的風景が見られる。
人口急増ぶりに街の人的インフラが追いついていない件。スーパーも少ないし食う所も少ない
画してタワマンだらけの街となっている中央区勝どき。一応ながら駅前のタワマンの下とかにプチモール的な商業施設もあったり、スーパーも何軒かあるのは目につくが、いかんせん人口増加に伴う人的インフラの供給が追いついていない感が強い。特に外食部門は致命的。普段使い出来るファミレスや大衆チェーン店が少なく、ちょっと足を伸ばして築地や銀座の高い寿司屋や高級レストラン、はたまた月島のボッタクリもんじゃを食う羽目になるので外食費がかさばみがちになりそう。勝どきビュータワーにあるサイゼリヤなんか年がら年中大行列である。
さらにこの地域は東京五輪開催に伴う再開発でかなり不動産相場が跳ね上がっているゆえ、勝どき駅から相当離れた勝どき五・六丁目にある「ザ・トーキョー・タワーズ」「KACHIDOKI THE TOWER」といった築浅超高層タワマンも中古相場が平気で7000万とか8000万である。不動産バブルが弾けたら将来こうしたタワマンもどうなってしまうのでしょうね。
朝潮運河を渡った先の晴海地区も昔はトリトンスクエアくらいしか無かった超高層ビルが軒並みタワマンが乱立する風景に激変している。五輪開催でBRTが出来るだの路面電車が出来るだの噂が立つが、実際2020年までにどうなるか分からないし先の見えないものに大金を注ぎ込むのも考えものである。
ちなみに現在53階建てのタワーマンション「KACHIDOKI THE TOWER」が建っている土地にはかつて「都営月島アパート」が建っていた。本来は下町住民が肩を寄せ合い暮らしていた辺鄙な埋立島の土地だったはずが、今やタワマン住みのバブリーな住民に取って代わられ、貧乏人にはとても住めない土地になってしまった、というべきか。ここの住民、どこに引っ越しちゃったんですかね。