多摩川沿いを走る南武線、川崎市最北の駅は…
川崎と立川の間を結ぶ多摩川リバーサイドライン「JR南武線」に乗って川崎市最後の駅となるのが川崎市多摩区に所在する「稲田堤駅」である。同じ川崎市でも川崎駅に行くまで片道30分以上も掛かる反面、当駅で乗り換えられる京王相模原線からは新宿まで最短20分ちょいで着く。(通勤時間帯には倍の時間が掛かりますがね)
「新宿まで30分以内で出られる神奈川県」という括りで考えれば、恐らく地価の面だけで言えばこの稲田堤あたりが最安値ではなかろうか。湘南新宿ラインだかで横浜市内の遠方から通うよりも、新宿に乗換なしで25分そこそこで直結する京王相模原線の存在は一見心強いようにも思えるが、そこは朝のノロノロ運転の酷さでは定評のある京王線のことである。期待しすぎてはならない。(2018年から下り方面のみ運行している座席指定列車「京王ライナー」は残念ながらこの駅には止まらない)
しかしそうは言ってもここは川崎市。それも外れの外れである。目の前の南武線は平面交差の踏切が駅前を分断しているし、立川方面ホームは改札口がないので一旦川崎方面ホームに跨線橋を渡って行き来する必要がある、昭和感漂う不便さが残る。インフラが古いままだ。
また川崎駅周辺とは雰囲気は全く違うにせよ、駅前商店街にたむろしている人種もどことなくガラの悪さが目立つ。オラオラ感漂う、フィリピンパブやガールズバーの入居する雑居ビルが駅前一等地で幅を利かせているし、ヤカラ風の通行人もちらほら。まあ、地価が安いということはそういう事だ。
南武線と京王相模原線の乗り換えで通らされる商店街
稲田堤ユーザーにとっての長年の懸案がこちら。南武線と京王相模原線の乗り換えで商店街「京王駅前通り」をイヤイヤ通らされる不親切設計になっている事。両方の駅はかなり近接していて、その気になれば連絡口を設ける事もできなくはないはず。しかし京王相模原線の駅開業から40年近くが経つ現在でもそれは叶っていない。しかしこのアーチ看板の「みんなの目 みんなの力で 犯罪追放」って何なんだよ…そんなに治安が悪いのかこの地域は。
稲田堤駅ではJR・京王線双方の乗り換えのために利用者はこの「京王駅前通り」を毎度の如くてくてく歩いて行き来する羽目になる。こういう光景、他にも西武池袋線と武蔵野線が交差する秋津・新秋津間の不便さに通ずるものがある。しかしこの途中にある店もつまんないチェーン店ばかりで、興味を惹かれるものも少ない。
稲田堤駅を利用する、あんまり時間も金もゆとりが無さそうなサラリーマンの毎朝の通勤を見守るように、乗り換えルートの商店街にあるアーチ看板には「安全は心と時間のゆとりから」のメッセージが。ぶっちゃけ、京王稲田堤駅への乗り換えはこの商店街を使わず、南武線の踏切で足止めされない北口の利用が望ましい。