丸ノ内線支線のどん詰まりは立正佼成会の本拠地
中野坂上から丸ノ内線支線で三駅、終点となっている方南町駅を降りると駅前には環七通りが南北に走り、駅の東側が商店街として開けている。商店街や駅周辺の街並みを見る限り丸ノ内線支線の三駅あるうちここ方南町が最も発展しているが、方南町界隈で最も特徴的なものに「立正佼成会」の本拠地として様々な施設がある事が挙げられる。
方南町駅北側、杉並区和田二丁目の環七通り沿いから見える立正佼成会大聖堂、普門館などの立派な宗教建築の数々は東京都心においても屈指の存在。創価学会に次ぐ信者数があると言われる教団だが、信濃町のピリピリした雰囲気とは違い、広大な敷地は出入り自由で地元民がのんびり散歩していたり、遠目に西新宿の超高層ビル群を拝めたりとなかなかの「都会のオアシス」ぶりである。
2014年9月には大聖堂北側に立正佼成会附属佼成病院が新築移転。宗教法人が経営する病院だが従業員や診療対象は佼成会信者とは限らず、340床を数える地域の総合病院として機能している。ちなみに近所にある救世軍ブース記念病院も同様に別の宗教法人が経営する病院だ。
毎年11月18日に方南町の商店街に来ると創価学会の三色旗が…
立正佼成会の本拠地のイメージが強いはずの方南町界隈だが、駅前の商店街に11月18日に来ると何故か商店街の至る所に創価学会の三色旗が飾られ異様な光景を見せる。どうやら方南町は創価学会創立期にゆかりのある土地で、その関係で学会の関係者が商店街に「三色旗の掲揚」をお願いに回るらしいのだ。
この三色旗は翌日になると一斉に取り外され、商店街は何事も無かったかのような平穏に戻るのだ。立正佼成会に救世軍、創価学会が入り混じる杉並の多宗教タウン、それが方南町なのである。
階段しかない超絶不便な方南町駅で活躍するスーパーヒーロー
地下鉄丸ノ内線方南町支線なる盲腸線に揺られて終点の方南町駅に辿り着くと、配管剥き出しの狭い天井と小さな改札口、それにエレベーター・エスカレーターすらない構内から地上へ繋がるのは階段のみ、という昭和丸出しな激渋な地下駅舎を拝む事になる。
昭和37(1962)年の駅開業から変わっていない地下駅舎は駅ホームの制約から丸ノ内線の6両編成車両が入れず、3両編成の中野坂上行きを利用するしかない上にバリアフリーの観点では非常に後進的で、身体障害者、高齢者、妊婦、小さなお子様連れの客は駅の利用に長らく不便を強いられてきた。
そんな事情から個人ボランティアとして活動するスーパーヒーロー「ベビーカーおろすんジャー」が方南町駅で活躍中。海外メディアにも取り上げられ話題となっているそうだが、いつまでも人の善意に頼ってばかりもおられず、今後は駅改良工事でエレベーターが設置され、ホームも延伸され6両編成に対応する見込みになっている。