とんねるず石橋貴明を生んだ板橋の大繁華街はひたすら庶民的
東武東上線の急行に乗れば池袋のすぐ次に来る「成増駅」。各駅停車も成増始発・終点の電車もある上、池袋からの区間をほぼ並走する地下鉄有楽町線、副都心線もあって、交通便の良さで言えばギリギリ都内にいるという安心感だけはある。池袋まで僅か13分で行けるのは通勤時間のコスパ的には優位である事は確かだ。なお、当ページでは「地下鉄成増駅」を同じ駅として扱う事にする。この事に異論を挟む者はそうそう居ないだろう。
東上線成増駅は近年リニューアルされ駅ナカ商業施設「エキア成増」なるものが誕生している。おおよそ成増民には似つかわしくないスタバとか成城石井もあるんですが、随分変わりましたね。成増と言えどもギリ都内。ここでマンションが買える住民はそれなりに収入も高いのだろう。
東上線成増駅南口の駅前から伸びる「なりますスキップ村」が駅前で最も賑やかな商店街という事になる。同じ東上線の大山駅と並んで板橋区二大中心市街地の一つとなっていて、ダイエー成増店をはじめとして相当な数の飲食店がひしめいていて、生活する上では困る事はまずない。
だが、スキップ村にある食い物屋をよくよく見てみると、揃いも揃って大手チェーン店ばかりという状態である事に気がつく。松屋にすき家、てんやにかつや、日高屋に福しん、リンガーハット、ココイチ、ガスト、らぁめん花月嵐、マクドナルドにモスバーガーにケンタッキー、R254川越街道に出ればなか卯に吉野家、ビッグボーイ、喫茶店はドトールとタリーズ…ものの見事にチェーン店しかない。それで個人商店はどうなのかというと、成増が誇る老舗喫茶「不二越」も今や死に体となっているのみ。
やはりチェーン店は面倒臭くないしコスパも良いしで、ドケチでこだわりの無い「ほぼ埼玉」な板橋区民にはピッタリなのだろう。板橋区でオサレなカフェや意識の高いオーガニックランチなんかは流行らない。リンガーハットで「野菜たっぷりちゃんぽん」でも食ってろってこった。そういう訳でこうした店もおおよそファミリー向きじゃないし、成増の街にいるのは独居老人と独身男ばかりである。
坂ばっかりで辛い…かなりいただけない成増駅北口
スキップ村が賑やかな駅南口に対して成増駅の北口はどうなんだと言うと、再開発でぶっ建てられた二つの複合施設ビル「ACT」「アリエス」がそびえるのみで寒々しい駅前風景となっている。さらにそこから外れると、そこらじゅう坂道ばかりで不便なのか発展度がイマイチなのである。
成増駅北口から北西方向に歩いたところにある「成増北口商店街」が北口における唯一の商店街らしい通りと言える場所だが、ここもさっぱり栄えていない。廃墟になった店舗やシャッターが閉まったままの店が随分目立っている。ここに来るまでにも坂道を下らないといけないし、やはり地形が災いして不人気なのだろう。ポテトチップス大手メーカーの湖池屋もこの商店街を抜けた先の都県境付近で根を下ろして頑張ってるし、もうちょっと栄えて欲しいよね。
そういう訳で成増駅北口は南口と比べると割と地価が安くなっている。快速急行とTJライナー以外の優等列車は全て停車するという成増駅の利便性もあって、こういう場所でも大型マンションの建設が盛んである。隣の和光市に行ってしまえばお家賃も安くて駅周辺は坂道も割と少なく生活しやすいように思うのだが、それでもギリギリ都内に留まっていたい方々がこの街を選ぶので、住宅需要が無くなる事はない。