西武池袋線を代表するベッドタウン、だが気をつけろ、駅の北側は埼玉県だ!
西武池袋線の急行で池袋から片道約15分、東京都西東京市に属する「ひばりヶ丘駅」。恐らく池袋から所沢に行くまでの途中駅で唯一駅前がきちんと再開発されて開けている、典型的な郊外のベッドタウンの体裁をした街ではないだろうか。それにしてもいただけないのが、旧田無市と保谷市の合併で市名が「西東京市」になってしまっている事。西なのか東なのかどっち付かず感満載だが、市の中心もどこか分からない。旧保谷市で一番栄えている街と言っておこう。
なにせ「ひばりヶ丘」が他の西武池袋線沿線の街より頭一つ抜きん出ているのは、駅前になんと「ひばりヶ丘パルコ」が鎮座している事。吉祥寺や浦和のようなオサレ層や知識層がふんぞり返っているアッパータウンにあるような、あのパルコですよ?この沿線では終点の池袋と、あとは埼玉県の新所沢くらいしかないパルコが、この西東京市という無名の街のベッドタウンにそびえているのだ。しかし自慢できる要素と言えばこのくらいしかない。
だが、浮かれた気分になるのも束の間、少し駅から離れると埼玉の垢抜けない街をコピペしただけのような西武線ならではの芋臭い街並みが現れる。ひばりヶ丘の食べログナンバーワンは「ラーメン二郎ひばりヶ丘駅前店」。サラリーマンや労務者風のオッサンや食い気しかない若い男が常に長い行列を成しており、特にジロリアンの間では「ヒバ二郎」という愛称で呼ばれる名店舗らしい。「ラーメン屋に行列」、これが池袋を起点とした埼玉的文化の象徴である。
駅北口はさらにもっさりした街並み。少し行くと住所が「埼玉県新座市」になる
さらに同じひばりヶ丘駅でも北口に出ると、再開発が遅々として進まず、また駅前一等地にありがちな戦後のドサクサかよ!と突っ込みたくなるような小汚い商店街が広がる、いつもの西武線的な昭和の街並みとなっている。夜になれば不良がたむろしてそうな、そんなダーティーな雰囲気がぷんぷん漂う。それが2017年になって、ようやくこうした古びた雑居ビルが大方立ち退き、再開発に着手できるようになった。
これが不評極まりない、従来のひばりヶ丘駅北口の唯一の動線である。エレベーターはともかくエスカレーターすらないというのは、相当後進的である。北口には最近になってやっとエレベーターとエスカレーターの設置工事が行われていて、車椅子やベビーカーの利用者は危険な踏切を跨いで南口に回るなど長年不便を強いられていたが、その不便も近々解消される予定となっている。
さらに気をつけて頂きたいのが、ひばりヶ丘駅北口は駅から少し歩くと住所が突然「埼玉県新座市栗原五丁目」に変わってしまう事だ。都県境を示す看板すらなく、気がつけばうっかり埼玉県に入ってしまう。北口の西武バス乗り場も埼玉県側にある。ここだけ埼玉県新座市が歪な形で出っ張っていて、住所を確認せずにこのへんの不動産に手を付けてしまうと、いつの間にか埼玉県民になってしまう。そもそも保谷だって明治時代までは埼玉県だったし、ここで都民様だと粋がっていてもどうせ埼玉と変わらないんですけどね。
その他、ひばりヶ丘駅周辺の写真集
ひばりヶ丘駅前に唯一そびえる33階建てのタワマン「HIBARI TOWER」。これが本当のヒバリーヒルズというやつでしょうか
ヒバリーヒルズにはパルコもあれば西友もある。西武グループのシマ
いつもの場末のスナックかと思って見たら、なんだよ「女の園」って
今は亡きひばりヶ丘駅北口の小汚い街並み。如何わしさすら感じる佇まいだったが味わい深い風景だった
駅の近くに平然と「ぶどう園」なんかがあるアグリカルチャーな街、それがひばりヶ丘です(埼玉県側ですが)
マイナーな存在に甘んじる西東京市をアピールする自虐気味な垂れ幕。見逃してました、すみません。